プロの目 錦織 準々決勝敗退 サーブ安定、粘り強さ発揮

ノバク・ジョコビッチ戦で途中棄権し、8強に終わった錦織圭=メルボルン(共同)
 テニスの四大大会初戦、全豪オープン男子シングルスで第8シードの錦織圭(日清食品)は準々決勝で途中棄権し、初の4強進出はならなかった。安定したサーブや粘り強さを見せた一方、1週目に苦戦を強いられて疲労が蓄積し、右太ももに痛みが出た。20歳前後の若手が台頭し、混沌(こんとん)とする男子テニス界で四大大会を制する鍵を、元プロや解説者らが語った。


収穫 速い展開でリズムつかむ
 前哨戦のブリスベン国際から好調なサーブが攻撃の起点になった。成功率68%の第1サーブから、3、5球目で仕留める速い展開でリズムをつかんだ。

 元プロの坂本真一氏はけがを機に修正したフォームで、バランスが取れるようになったとし「1年通じてやり通したことが年明けの安定感につながっている」と分析する。

 解説者の辻野隆三氏は下半身の強化により、勝負どころで安定して決められるようになったと説明。太ももが一回り大きくなったことでサーブ時の体の軸がぶれず、外さなくなり、「精神面に大きなプラスになった」とみる。

 サーブの種類も増えた。特にスライスは、ワイドやセンターに打ち分けてスペースをつくり、ネットプレーにつなげた。辻野氏は「試合時間を短くできる」と評価し、さらなる質の向上を求めた。


若手の台頭 相手の研究より必要に
 20歳前後の「新世代」2人が初めて8強入りした。元世界1位のロジャー・フェデラーを破った20歳のステファノス・シチパス、世界6位のケビン・アンダーソンに勝った21歳のフランシス・ティアフォーで、勢いを感じさせた。

 錦織も1回戦で世界176位、23歳のカミル・マイクシャクに大苦戦し、会見で「トップ30にいてもおかしくない」と話した。坂本氏は現在の男子テニス界は「ランキング上位と下位の差がなくなってきている」と分析。「相手をもっと研究し、対策を取ることが必要になってくる」と話す。

 秋山氏は「追われる立場が強くなっている錦織がプレッシャーを感じすぎている」との見方を示す。肩の力を抜き、余裕を持てば、連続のスライスや意表を突くドロップショットといった「遊び」を交えてポイントを取るテニスで、試合を支配できるとする。


課題 先にブレークする戦いを
 4回戦までの3試合がフルセットにもつれ、体力が削られたのが痛かった。辻野氏は「チャンスをつかんだら、早くものにしなければならない」と話すように、立ち上がりのチャンスを生かせなかったことでに相手を勢いづかせ、試合時間が長引いたのが響いた。

 2セットを先取された1、4回戦は第1、2セットの序盤から中盤、ブレークポイントを逃すゲームが目立った。坂本氏は「ポイントを取りにいく時、焦って打ち急いでいるように感じた」と見る。

 リターンゲームで波に乗れず、4回戦のブレークポイント獲得率は29%(21本中6本)と錦織らしい勝負強さはいまひとつだった。

 フリーライターの秋山英宏氏は「出だしから100パーセントでプレーできなかった」と指摘。ブレークのピンチをしのぐ粘り強さは光っただけに、序盤から集中力を高く保ち、先にブレークする展開に持ち込みたい。

2019年1月25日 無断転載禁止