「はだしのゲン」演劇化 松江の幻影舞台、4月上演

元の苦悩を表現する日向純平さん(左)と、大吉役の清原眞さん(右から2人目)=松江市千鳥町、宍道湖しじみ館
 松江市を拠点に活動する劇団「幻影舞台」が、広島原爆の悲惨さを訴える「はだしのゲン」の演劇を4月に同市内で上演する。市教育委員会の閲覧制限問題を受けて2013年に始めた朗読劇を演劇作品に仕立て直した。団員は「家族愛や兄弟愛など多くの愛が詰まった作品だと伝えたい」と練習に熱がこもる。

 はだしのゲンは、主人公の元が原爆で家族を亡くしながら懸命に生きる物語。被爆者の故中沢啓治氏が自身の体験を基に描き、原爆の恐ろしさや戦争を繰り返さないメッセージ性が世界的に高く評価されている。

 「ふざけるなという思いだった」。劇団を主宰する清原眞さん(70)が松江市教委の閲覧制限問題を振り返る。問題を知り、原作の漫画を読んで気付かされたのは、元の父・大吉が家族に注ぐ愛情や、元たちの兄弟愛が伝わる情景描写。現代に通じる普遍性のある作品と改めて知り「大人の勝手な判断で残虐な作品と決めつけてはいけない」と朗読劇に仕上げた。

 朗読劇はこれまで島根県内外で十数回公演し、高評価を得た。一方、作品の理解が深まるにつれ「元は、はだしで走り回る姿が似合う」との思いが募った。視覚に訴える演劇化を決め、18年9月にあったしまね演劇コンクールに出品。5団体が参加し、観客100人による投票で、46票を獲得して1位に輝いた。

 「父ちゃんが戦争に反対するけん、ばかにされるんじゃ。父ちゃんのばか」

 11日、松江市内であった練習で主人公の元役を務める日向純平さん(26)たちが迫真の演技を繰り広げた。原爆投下から74年。被爆者の高齢化が進み、風化が懸念される現状に危機感を覚える清原さんは「残虐な場面だけではない。元の強さを伝え、子どもたちにこんな生き方があると知ってほしい」と訴えた。

 4月28日に島根県民会館(松江市殿町)で上演する。午後2時開演。入場料は大学生以上千円(当日1500円)、高校生以下無料。問い合わせは県民会館、電話0852(22)5502。

2019年3月13日 無断転載禁止

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