もう一冊

 都会と地方との格差がまた一つ広がる。中国5県と九州7県で、雑誌と新刊書籍の店頭発売日が4月から従来よりもさらに1日遅れるという。長距離トラック運転手の人手不足を理由に主要物流会社が昨秋、出版物の取次協会に輸送スケジュールの緩和を求めた▼かつて2兆6千億円あった出版の市場規模は、今では半分以下。経費をかけての体制維持は困難なのだろう。幸い売れ筋の漫画誌は従来通りに届きそうだが、特ダネを載せるためタイトなスケジュールで誌面を作る週刊誌あたりは、手にするのが遅れそうだ▼一方で自前の流通網を持つインターネット通販のアマゾンジャパン(東京)に影響はないという。地方の書店には逆風この上ない。通販だけでなくコンビニも強敵だ。雑誌の売り上げを奪われるばかりでなく、独壇場だったはずの書籍の取り寄せも、検索システムなどの発達でコンビニにお株を奪われている▼山陰両県では、まちの書店が激減。本屋に行きたくても近くにないという人が大勢いる。人々の不満をグローバル企業やコンビニ大手がビジネスに結びつけ、お金は県外に流出する▼ただ、出版不況から生き残った店は個性的なところが多く、品ぞろえは魅力にあふれる。これ以上なくなっては困るのだ。見知らぬ本に出合い、好奇心を満たしてくれる空間を支えたい。そう自分に言い聞かせて、ついもう一冊買い込んでしまう。(示)

2019年3月13日 無断転載禁止