世事抄録 竹島ラプソディー

 ここ数年の学習指導要領改定実施により、小中高生に竹島は「わが国固有の領土」と教え込むらしい。思えば五十数年前、小学校で図画を習った老先生が中学の教室に社会科講師として現れ、畳2枚分もある大地図を掲げて竹島奪還を熱っぽく語ったことがある。政府の無策を叫び涙を流す恩師に目を見張ったものだ。その時代がかった記憶もあって、教育現場の生兵法、不毛な日韓の軋轢(あつれき)に子どもらが惑わないか心配している。

 日韓基本条約(1965年調印)の直前、領有権棚上げの“密約”伝説も生まれた竹島問題。さかのぼれば敗戦日本が受諾したポツダム宣言第8項は「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルヘシ」と定め、連合国軍最高司令部訓令は竹島が「日本から除かれる」と明記した。逆に講和条約(51年)の時、米国は「朝鮮領だったことは一度もない」と態度を変転させ、韓国の占拠に伴い日韓の間に火種が仕込まれる。

 こんな複雑な経緯に加え2008年、ブッシュ大統領の訪韓時に米国地名委員会が主権未指定地だった竹島を韓国領へ戻す。李明博(イミョンバク)政権の懐柔策だろう。当時の町村官房長官は「過度に反応しない」と動かず、いわば黙認されたままである。10年を経て昔より拡大した矛盾を世間は知っているのか、領土教育が全開する。老先生の怒声が聞こえるようだ。

 (松江市・風来)

2019年3月14日 無断転載禁止