人に優しい車社会に

 市街地を走る車はスピードが出せないようになっていればいいのに-。何の落ち度もない歩行者が、暴走する車の犠牲になる事故が起こるたびに、そんなことを思うが、暴論だろうか▼ただ、道を歩けばビュンビュンと通り過ぎていく車に恐怖を感じ、ハンドルを握れば自分も事故を起こすかもしれないと不安を抱く自らの日常を踏まえても、「スピードの出し過ぎ」ができない仕組みは有益だと思う▼高齢に伴う操作ミスや若さゆえの無謀運転、運転中の病気や居眠りにスマホ操作、飲酒など暴走を招く要因はさまざまある。運転免許の返納など、運転者の良心に訴えるだけでは限界がある▼「人」対「車」の事故で、致死率が急激に高くなる分かれ目の時速は30キロという。例えば、街中ではそれくらいの速度を超えないよう抑制装置のようなものが働き、自動車専用道路では解除される。市街地でスピードが出せるのは消防車や救急車など緊急車両のみ。効率化やスピード化には逆行するが、そんな車社会は検討に値しないだろうか。信号機のない横断歩道を渡ろうとする歩行者がいれば、一時停止する車もきっと増える▼車に対して圧倒的に弱い立場にある歩行者の犠牲は本来あってはならない。後世から見たら「何と野蛮な」と思うような状況が今かもしれない。時代は令和に変わった。自動運転の技術が進む中、人と車の関係を見つめ直したい。(輔)

2019年5月9日 無断転載禁止