火山からの贈り物

 北欧スウェーデンの首都ストックホルムを訪れた際に軍艦ヴァーサ号を見た。国王の命で造られ、1628年の初航海で沈没。333年後に引き揚げられた。高さ52メートル、長さ69メートルの巨大な木造船には美しい彫刻が施され、博物館内に保存されている▼ヴァーサ号は島根とつながりがある。約4千年前の縄文後期、三瓶山の噴火により埋もれた巨木が立ち並ぶ、大田市の小豆原埋没林公園。埋没林はヴァーサ号を参考に、化合物を木材に染み込ませて保存しているという▼太古の自然を今に伝える森は、世界でもまれな発見。高さ12メートルのスギの表面は火砕流で焼けた跡をとどめる。保存状態が極めて良く、今も木の香りが残る。根元の土の中には当時の木の葉や昆虫が入っており、タイムカプセルのようだ▼大田市は埋没林や三瓶山など22件を「火山からの贈り物」として日本遺産認定を目指したが、最初の申請では認められず、再起を期す。国際貿易に欠かせない銀を産出した石見銀山の鉱脈も火山活動でつくり出された。鳴り砂で知られる琴ケ浜は火口に当たり、海中から温泉が湧き出している▼人々の暮らしを支えた特産石材の福光石などを含め、地域の自然と歴史をひもとき、世界遺産や国立公園、国の天然記念物を結び、見つめ直す視点がユニークだ。来春には三瓶山で全国植樹祭が開催される。全国からの来訪者に魅力をもっとアピールしたい。(道)

2019年7月7日 無断転載禁止