転勤

 大手新聞社の記者が鳥取から滋賀に転勤することになり、家族の住む三重に近くなると喜んでいた。休暇に家族と過ごして鳥取に戻る途中、中国自動車道まで来ると寂しくなっていたという。全国転勤のある会社員の苦労を感じた▼筆者は飽きっぽく転勤が好き。地方新聞社で、顔なじみのいる土地を渡り歩く適度な距離感が心地よい。単身赴任が多く妻子とは別居期間の方が長いが、1人で過ごすのも好きで苦にならない。年頃の長女と今も仲が良いのは適度な距離感があったからか▼そう言えるのは、山陰両県内の転勤だからかもしれない。厚生労働省の「地域限定正社員制度導入事例集」によると、地域を限定した働き方に魅力を感じる若者が増加。大学生・大学院生アンケートで地域限定正社員への応募意向は7割を超したという▼鳥取海上保安署や自衛隊鳥取地方協力本部で聞いた話も合致する。守る系職種の人気は管轄範囲の広さに反比例して、一に消防、二に警察で海上保安庁や自衛隊は敬遠されがちだとか。鳥取市職員からは「昔は市役所より県庁が人気だったが今は逆」との声を聞いた▼遠方への転勤があっても働きたいという生き方を否定するつもりはない。ただ、結婚や子育て、自宅購入といった人生設計が会社の人事に左右される世の中には少し疑問を感じる。買って18年たつのに7年しか住んでいない自宅を見ると、そう思う。(志)

2019年8月11日 無断転載禁止