スティンザー効果と日韓関係

 「スティンザー効果」という言葉がある。米国の心理学者スティンザーがまとめた心理的効果のことで、会議などで座る位置関係によって、相手への印象が変わる心理を表す▼真正面に座るのは反対意見やライバル心を持っている人、横に並んで座るのは親しみを抱き味方になってくれる人、そして斜め前に座るのは意見の衝突が起こりにくく親しい関係を期待できる人、という分析。共感する人も多いのでは▼その意味で、テーブルを挟んで真正面から対峙(たいじ)しているのが、現在の日韓関係だろう。元徴用工問題に端を発した関係悪化は、通商分野から安全保障分野にまで拡大。山陰でも、出雲空港と韓国・金浦空港を結ぶ連続チャーター便は運航を中断したまま。対立が長期化すれば、訪日客の需要減で週3往復の減便が続く米子-ソウル便も6往復の復活どころか、富山など他の地方路線と同様に運休もちらつく▼元駐韓大使の小倉和夫氏は、関係改善には「しばらく間を置くことと、調停役となる第三国が必要」と指摘。その上で、観光など分野ごとに「テーブルで向かい合うのではなく、隣り合って改善策を交渉すべきだ」と説く▼日韓が互いに感情をむき出しにしていては対立は泥沼化するだけだ。ただ、いきなりテーブルの真正面から隣へ座り直すのは困難だろう。時間をかけてでも、意識的に相手の斜め前へと席をずらす努力が求められる。(健)

2019年9月4日 無断転載禁止