世事抄録 ヒエラルキー

 ペットフード協会の2017年の推計飼育数調査によると、1994年の調査開始以来初めて猫が犬を上回り、昨年の調査でも犬の約890万頭に対して猫は965万匹に達したという。しつけや散歩などの負担が少ないのが理由のようだ。

 ひょんなことから4歳の猫、ロシアンブルーの雌を預かっている。和室を居室に明け渡したが、人の声に敏感に反応して脱出を試みる。ベニヤ板でガードをすると、隙間を見つけ爪を立てて引っかく。当分攻防戦が続いた。

 猫との暮らしは過去に21年間あった。洋猫は家族には慣れても、他人にはなかなか懐かない。以前の猫は隙を見て客の足の指をかじった。今回も懐くまでに時間を要した。

 やがて新生活に慣れ人間との距離も縮まってきた。慣れるにつれ彼女の中に明確なヒエラルキー(階層の序列)が出来上がってきたようだ。インドのカースト制度で例えると最上位のバラモン(司祭)に自分がいて家人がクシャトリア(王族)、さしずめ小生はシュードラ(労働者)として位置づけているらしい。

 抱いていても家人の足音が聞こえると肩を蹴って飛び降り戸の前で待っている。肩から頭にはい上がり、頭上で君臨している。決めたヒエラルキーを見直す気配はない。鳴いて呼び付けられる。餌を準備し、トイレの砂を替える。女王様にかしずく日々が続く。

(出雲市・呑舟)

2019年9月5日 無断転載禁止