島根県立情報科学高校 人、モノ、過去・未来を「つなぐ」

30日、12月1日「情報ITフェア」

 島根県立情報科学高校(安来市能義町)は今年も30日と12月1日の両日、「第4回情報ITフェア」を開催する。例年通り生徒が先生役を務めることによって、日頃の学習やビジネスマナーを生かすとともに、生徒自身の成長、地域の方々や子どもたちとITをツールとして学び、触れ合うイベントである。また、「ITcity安来」をより一層活性化させ、地域に必要とされるITの拠点となって、地域に貢献することを目的としている。

 今年のテーマは「Interface」。つながる・つなぐという意味で、情報ITフェアだけで完結せず、未来へとつなぐイベントを目指し、「人」・「モノ」・「過去・未来」をつなぐというコンセプトのもと、本番に向け全校生徒が準備活動を頑張っている。

 そこで、本ページでは「情報ITフェア」の概要を中心に、情報科学高校の各種取り組み、研究なども併せて紹介する。

生徒と地域が学び、ふれあう

生徒の指導でMESHプログラミング体験をする子ども(昨年の情報ITフェアから)
 今年は初出展の講座やテナントも見どころの一つだ。体育館で行われる「ジャンプVR」は、VR(仮想現実)の世界で『週刊少年ジャンプ』の漫画の原画を美術館のように見ることができるブース。『ジャンプ』は日本の漫画・アニメ界をけん引してくれる存在。人気漫画や人気アニメの原画を特大サイズで鑑賞できる機会となっている。

 見どころはこれだけじゃない。「スモウルビー甲子園」は、産業人材の育成およびプログラミング人口の拡大を目的に、島根県をはじめとする産学官で構成する実行委員会が開催するプログラミング競技会だ。

 ほかにもJOHO広島情報専門学校による「AIと友達に・格闘ゲーム」や、出雲コアカレッジによる「ETロボコン」は、ETロボコン中四国大会で総合優勝した腕前を披露してもらう。

 体育館の外のたべもの屋台は、今年初出店の店が多くみられる。おどんやチキンケバブなど、寒い冬でも温かくておいしい料理や、クレープ、シュークリームなどのスイーツもある。

 今年もスタンプラリーやクイズも計画されている。クイズが用意されている部屋に行き、問題に解答することで景品をもらうことができる。ITに関する予備知識は一切不要。子どもから大人まで幅広い年齢層に楽しんでもらえるイベントだ。

 「情報ITフェア」の運営を行う起業家班では、開催にあたって、去年の反省点を改善し、さらに進化した実践となるよう多くの時間を費やしてきた。週3時間の授業内での準備にとどまらず、放課後も忙しい時間を縫って、協力しながら準備に取り組んできた。

 過去の実行委員の姿を見て、それを超えたいという思いを持ったメンバーが集まっており、その「意欲と情熱は過去最高」(担当教員談)という。実行委員長の岩木さくらさん(情報システム科)は「フェアを通じてできたつながりを大切にし、さまざまな面で成長していきたい」と意気込んでいる。

◆ブース・講座◆

・ムラタセイサク君科学授業(出雲村田製作所)

・ジャンプVR体験(集英社)

・iPadで水族館をつくろう(テラスカイ)

・発達障がいについての理解を深めるVR体験

 (山陰・介護アクション×山陰言語聴覚士協会×山 陰効果団地)

・Pepperのプログラミング体験(ソフトバンク)

・デザイナー体験(デジタルハリウッドSTUDIO米子)

・発電エネルギーでトーマスに乗ろう(とっとり自然環境館)

・AIと友達に・格闘ゲーム他(JOHO広島情報専門学校)

・VTuber体験(地域おこしXR研究会)

・ホームセキュリティ×Xperia Hello!(セコム山陰)

・Society5.0を体験しよう!(福山大学)

・ボディトラッキング体験(島根大学ものづくり部Pim)

・ETロボコン2輪で走るって!?(出雲コアカレッジ)

・だらずFM生放送 COOLCHOICEに賛同を (DARAZ FM)

・スモウルビー対戦ゲームを体験(スモウルビー甲子園)

イベントスケジュール

【1日目】

 ▼オープニング        10:20~

 ▼ムラタセイサク君      10:30~11:00

 ▼地域研究班発表       11:10~11:40

 ▼さと原人さんのショー    13:30~14:30

【2日目】

 ▼オープニング        10:20~

 ▼作品表彰(遊ぼう学ぼう講座)10:30~11:30

 ▼地域研究班発表       14:00~14:30

◆たべもの屋台◆

チャーハン(安来市青年経営者協議会)

ドリンク(ラポラポ)

パリシュー(モントローネ)土曜のみ

焼き鳥など(フードシャトル)

ひろせボール(祖田風月堂)

チキンケバブ・ネギ焼き(cocokara)

おにぎり・豚汁(なでしこ委員会)

クレープ(メイプル)土曜のみ

大山おこわ(おかもと旅館)土曜のみ

おどん(松江商工会議所青年部)日曜のみ

授業の中での研究活動紹介

 コラボスイーツ開発

  地域研究班

生徒が企業と共同開発したオリジナル商品
 地域貢献を目指した活動を行っている課題研究「地域研究班」は、情報ITフェアに向けて地元企業とコラボした商品を開発した。わたなべ牧場とコラボした「イチゴヨーグルト」と、モントローネと共同開発した「安来産イチゴを使ったシュークリーム」「安来産イチゴのピューレと安来産大豆でできた豆腐を使ったチーズケーキ」「安来産イチゴのピューレを使ったクッキー」の3種類を含めた4商品で、ともに4月当初から企画開発してきた。

 商品は、昨年から継続して安来産の特産品を活用した地域貢献を模索する中で考案。当初は地元豆腐製造業者と商品開発を企画したが、その途中で安来特産の大豆とイチゴの両方を使ったスイーツを開発したいとの思いに至った。

 モントローネとの共同開発に携わった3年満野香奈さんは「安来産の原料にこだわって作った。私たちならではの、ここにしかない商品を味わっていただきたい」と話す。また、わたなべ牧場との共同開発に携わった3年田部大輔さんは「多くの人たちとの協力で良いものを作ろうと奮闘中。ITフェア限定商品なので、ぜひこの機会にご賞味いただきたい」と話している。

 QRコード使い販促研究

  ITシステム研究班

生徒が開発したQRコードによるチラシ閲覧サービス
 ITシステム研究班は、島根県のIT人材育成事業により、システムエンジニアの石倉淳一氏(ミニマルエンジニアリング代表)と連携して授業を行っており、本年度はQRコードやNFC(スマホをかざすだけで通信できる)を使った販売促進の研究を行っている。

 販売促進の広告媒体としては、チラシや新聞・雑誌、インターネット、ブログ、SNSなどがあり、近年はその種類が増加している。どの媒体が効果的に集客できるのか、安来市にあるHokプラーナ店の協力を得て、買い物客約150人にアンケートを行った。アンケートの結果から、若年層ではチラシ広告を見ずに買い物をする人が多くいることが分かり、最新のチラシをQRコードから簡単にいつでも閲覧できるサービスを考えた。

 今回は8月末に2週間限定でこのサービスを試験実施したが、10代から40代の約75%の方から「簡単に使えて便利だ」と好評を得た。現在は、島根県を訪れる外国人旅行客が増加していることを受け、お店のメニューをQRコードで読み取ることで英語表記で見られるサービスにも取り組んでおり、今後も情報科学高校だからこそできる地域貢献の形、ITサービスを創出していきたいと考えている。

 情報科学高校では、上記「起業家班」「地域研究班」「ITシステム研究班」のほかにも、以下の課題研究講座があり、活発に活動しています。

簿記研究班

 簿記の知識をさらに深めるために、全国商業高等学校協会(全商)主催簿記検定1級や日本商工会議所(日商)主催簿記検定2級を目標に勉強しています。目標設定を行い、計画的に学習をしています。簿記の知識を深めることで、会社の経理や経営管理に役立てていきたいと考えています。特に日商簿記検定レベルの知識を身に付けることで財務諸表を読む力が身に付き、自社や取引先の経営内容を数字から把握できるようになります。学んだことを将来に生かせるように追求していきたいと思います。

FP(ファイナンシャルプランナー)班

 「お金の専門家」といえば分かりやすいでしょうか。人生設計にはお金はつきものです。生活費・教育費・保険料から家の購入まで、全てにお金がかかります。この人生設計のお手伝いを行うのがファイナンシャルプランナーです。この講座ではお金の専門家としての基礎知識・技術を学び、資格取得にも挑戦しています。普段生活していく中で必要なことも学べるので、人生に役立つ資格です。

CGデザイン班

 1学期は、イラストレーターやフォトショップなどの静止画編集ソフトを使って、年賀状で使える干支(えと)のイラスト作成と全商検定ポスターに応募しました。現在は、シェイドを使って3Dのデザインを作成しています。今後は出来上がったデザインデータから3Dプリンターで抽出する予定です。自分たちがデザインした作品の完成がとても待ち遠しいです。

情報処理研究班

 全国商業高等学校協会主催検定の1級や、ITパスポート試験・基本情報技術者試験など高度な資格を取得するために、各自が勉強の計画を立てて取り組んでいます。それによって、計画性や主体性が身に付いていきます。分からないところは先生に聞いたり、友達と切磋琢磨して課題に向けて取り組んでいます。

 

編集後記

 本年度から起業家班の広報・デザイン・NIE班で「青春はつらつ新聞」の製作を行うことになりました。

 製作にあたり、より深くITフェアについて考えることができました。情報量も多く、各講座の魅力を言葉で表現することはとても難しかったですが、多くの方の協力により発行することができました。ご協力ありがとうございました。

 「Interfaceとはつながること。つながることとは相手を思うこと。未来を想像すること」-実行委員長の岩木さくらさん(情報システム科)の言葉です。情報科学高校の生徒がお客さまと共にこれからの未来を豊かにしてほしい、という意味が込められています。ぜひこのITフェアで今後の人生に生かせる「つながり」をつくりあげてほしいです。

 ITフェアに来てくださるお客さま、ご協力してくださる企業、学校の方々、「情報ITフェア」の成功のために頑張っている生徒たちの様子や、日ごろから培っているビジネスマナーや学びの成果を見ていただけたらうれしいです。これからも、情報科学高校のさまざまな取り組みや活動が地域の活性化につながるよう頑張りますので、ご協力、応援をよろしくお願いいたします。皆さまのお越しを心よりお待ちしております。(勝部紗良)

2019年11月27日 無断転載禁止

こども新聞