女子ログ 今年も暖冬?

 吉田修一さんの青春小説「横道世之介」に、長崎県出身の主人公が東京に積もった雪を見て大喜びする場面がある。古里ではめったに雪は降らないし、地面が真っ白になることもないからだ。

 私は山陰の生まれなので、軟弱ながらも一応九州男児の主人公とは、感覚が違うはずなのだが、以前東京に住んでいたとき、たまに見る都内の白銀の世界は決して嫌ではなかった。

 歩くのには不便になるし、電車も遅れたりして、都会暮らしにはどちらかというと迷惑なはず。それでも、心のどこかが結構ドキドキしていたのを覚えている。

 友達との雪合戦や雪だるま作り、そして親が加わってくれれば、かまくらを作ってもらい、中に入って大喜び。こうした雪景色でしかできない遊びの楽しさを、頭の深~いところでメモリーしているじゃないかと思う。

 ここ数年は山陰でも暖冬傾向。寒くてぶるぶる震える日は、本当に少なくなった。もちろん危ないのでタイヤは交換しておくのだが、「冬タイヤにしといて助かったなあ」と思う日は数えるほどだ。

 暮らしていくには、暖冬はありがたいのだが、雪遊びという体験を子どもたちにさせてあげられないのは、経験者としてちょっとかわいそうな気がする。

 (松江市・ブランチ)

2020年1月12日 無断転載禁止