世事抄録 独居生活の予行練習

 新年早々アクシデントが発生し、妻が入院。わが家は妻と小生の2人暮らしなので、突然の独居生活となった。

 既に退院し、独居は3週間ほどで終了したが、小生、家事はほとんどこなせるので、これくらいの期間であれば、それほどたいへんということもなかった。

 また、こうした事態も実は初めてではない。十数年前、母と妻の3人暮らしだったとき、母と妻がほぼ同時に入院・手術ということがあった。このときは期間も1カ月以上だったし、小生はまだ現役で働いていた。その上、入院先が、母は山口市、妻は松江市と、東西300キロ近く離れていた。母はその病を克服できず旅立った。

 だから、そのときのことを思うと、今回は、小生は既にリタイアの身であり、それほどたいへんではない、はずだった。しかし、思いもかけない経験をした。それは、「孤独感」である。現役のときの入院騒動では、そんな感情はまったく湧かなかったのだが、年齢のせいか、夕食を1人で用意して食べていると、味わったことのない孤独感がじわじわと湧き出てくるのだ。

 今回の体験はとても貴重だったと思う。齢(よわい)を重ねての独居とはこういうものか、と知ることができたからだ。今回の「予行練習」で、本番に向けて少しは心の準備ができたように思う。ただ、平均寿命からすれば、独居生活になるのは、妻のほうだとは思うが。

(島根県津和野町・柊)

2020年2月6日 無断転載禁止