文系人間と理系人間

 文系人間と理系人間は、大学入試によって分けられそれが延々と近代以降の日本社会を形づくってきたのではないか。出雲市出身で早稲田大大学院教授の杉浦正和氏からこんな話を聞いた。日本ほど大学入試で文系と理系がはっきり分かれる国は珍しい。留学経験がある米国では、そんな区別はないという▼文系と理系の分水嶺(れい)となっているのは、数学ができるかどうか。国公立大学を除き数学を受験科目とするかどうかで分かれる。数学嫌いにとって、私大文系という進路選択の受け皿ができたことで「命拾い」した人も少なくない▼「本来、文理は一体。それを意図的に引き離すのは、入試の便宜上でしかない」と杉浦氏。融合すべき文理を分離させてきた「ぶんりぶんり罪」の真犯人は、私大文系最難関といわれる早大政経学部と杉浦氏は「断罪」する▼その早大政経学部が2021年度入試から数学を必須科目とする。英語は得意だが、数学と聞けば鳥肌が立つという生徒たちにとっては「そんな殺生な」との思いだろう▼文系といえども論理的思考が必要と大学側の言い分だが、全方位型学力を求める文部科学省の意向を忖度(そんたく)したとみる向きもある。早稲田がやれば追随する大学も出てくるかも。そんな皮算用も浮かぶ。しかし考えてみれば分数もできない大学生が、数式の塊でもある経済学部を卒業できる日本の不思議を告発する試みでもある。(前)

2020年2月17日 無断転載禁止