世事抄録 百年の緊縮に絶句

 年率マイナス6・3%の衝撃のGDP速報値をよそに、枝野幸男立憲民主党代表は党イベントで「私が首相なら消費増税はない」と述べる一方、れいわ新選組が共闘条件に掲げる消費税5%減税に否定的な見解を示したという。相変わらず野党第1党が安倍政権同様に緊縮財政路線へ傾き、経済政策にキレがない。

 かつて自公民3党合意で10%増税に踏み込み、今も社会保障財源として頼る発想が垣間見える。1千兆円を上回る国債残高を“借金”とみなす限り、将来へのツケ回しにビビるのは無理もない。この根拠なき財政破綻思考は、冷戦終結ごろからエコノミックアニマル弱体化の謀略も絡めて日本を覆ってきた。

 しかし破綻思考の根っこに善意の戦後平和主義があるとしたら話は滑稽になる。実際、憲法9条とセットの財政法4条は戦費調達の足かせとなるよう国債発行が原則禁止。ただ一部の物知り以外に経済論議で持ち出す例は少なく、もっぱら庶民は国債借金論でけむに巻かれているようだ。

 それでも立憲応援団がまとめた経済政策「まっとうに1世紀かけて借金返済」を最近見せられ、その副作用に絶句した。失敗したアベノミクス、反緊縮派のれいわ新選組を超越する第三の道を叫ぶが、戦時中の「欲しがりません勝つまでは」に瓜二つではないか…。飢えて国が滅びかねない方向提示に、歴史の逆流を思った。

(松江市・風来)

2020年2月20日 無断転載禁止