ハウス二十世紀梨

 「梨王国・鳥取」のシーズン到来を告げるハウス二十世紀梨は、盆前に出荷する。ハウスというと、旬に逆らって促成したというマイナスイメージを持たれがちなのに、いまだに鳥取の梨の先触れを務めるところが興味深い▼二十世紀梨本来の旬の9月に出荷が集中して値崩れしないようにと考案された。赤梨の幸水などが出回る夏に、爽やかな青梨の二十世紀梨を売り込みたいという狙いもあった▼実際、マイナスイメージも持たれていた。十数年前、鳥取県園芸試験場の場長や鳥取大農学部の教授に「ハウス二十世紀梨の味が露地物に劣り、二十世紀梨の評判を落としている」と聞いた。だから、優れた早生(わせ)の青梨新品種を生み、先触れを任せたいという思いがあっての言葉だった▼ところが今になっても、取って代わるほどの早生の青梨は生まれていない。そして、ハウス二十世紀梨自体がより高品質になっているという。JA鳥取中央東郷果実部(湯梨浜町)の寺地政明部長によると、「ハウスらしくないですね」と驚かれるほど。栽培技術向上に加え、気候変動で、味を落とす梅雨時の長雨が減ったことも追い風になっているようだ▼ハウス二十世紀梨の出荷を取材した時に試食を勧められた。場長や教授の言葉が頭に残っており、恐る恐る口に運んだら、うまかった。名品・二十世紀梨の底力と、たゆまず磨いてきた梨農家の努力を垣間見た。(志)

2020年3月25日 無断転載禁止