大会の出場機会失い苦境 何でもいい、試合がしたい

マスクを着けて素振りをする前井出侑哉君=松江市嫁島町
 新型コロナウイルスの感染拡大による休校措置が続き、山陰両県でも児童、生徒のストレスが日に日に増している。スポーツに打ち込む子どもたちは目標にしてきた大会の出場機会を失っただけでなく、緊急事態宣言が延長されることになり、いつ仲間と体を動かせるのだろうとの思いが募る。

 「え、どうしよう」。4月中旬、全日本少年軟式野球大会の中止を知ると、松江市の中学野球クラブチーム、乃木ライオンズシニア主将の前井出侑哉君(14)=松江市立湖南中学校3年=は頭が真っ白になった。

 「中学生の甲子園」とされ、多くのクラブチームが最大の目標とする大会。4月に市予選、8月に全国大会が予定されていた。小学6年時に続き、中学でも全国の舞台に立ちたいと仲間と意気込んでいた前井出君。「クラブチームは総体に出られない。全国大会に出るためにきつい練習をしてきた」と悔しがった。

 チームは市内の休校に合わせる形で、4月中旬から週5回の練習を自粛している。樋口近監督(70)は、コーチ作成の自宅でできるトレーニングメニューをメンバーに渡し、体がなまらないよう腐心。電話で様子を確認するとともに、時間を持て余す中で現状を見つめてほしいと、「今の思い」「希望」をテーマに作文を課した。

 前井出君は全国大会という希望を失ったとつづる一方、主将として、後輩にチームに入って良かったと思ってほしいと記した。「野球ができるのは当たり前ではない。幸せなことだ」と苦境の中で自分を見つめ直し、プラスに考えられるようになった。

 とはいえ、自宅周辺を除いてあまり外に出られず、ランニングや素振り、筋力トレーニングなど野球のために費やす3~4時間以外は一日の時間の使い方に戸惑う。友人とも話せず、ストレスは増えるばかりだ。

 緊急事態宣言が延長されれば、仲間と練習できない状況がいつまで続くのか見通しが立たなくなる可能性もある。「『うそだろ』と思う。精神的に追い詰められる」と漏らす。

 本来ならスポーツ大会が盛んになる時期になったが、グラウンドや体育館に10代アスリートの声は響かない。前井出君は「とにかく、何でもいいから試合がしたい」と切に願った。

2020年5月2日 無断転載禁止