コロナで帰国できず不安な日々 ポーランドに留学中の男性

現地でサッカーを観戦し、笑顔で旗を振る田部憲司さん=ポーランド・ポズナン、2019年11月
 「人に会うことができずさみしい」。島根大4年生でポーランドのトルンに留学中の田部憲司さん(22)=島根県雲南市大東町出身=が、新型コロナウイルスの影響で不安な日々を送っている。日本から持参したマスク5枚を使い回し、アルバイトもできず収入が途絶え、奨学金と貯金で何とかやりくりする生活が続く。

 現地の大学で昨年10月から観光と歴史を学び、平日は勉強や友達との飲み会、休日はポーランド国内やドイツを旅行するなど海外生活を満喫していた。

 半年後、状況が変わった。3月4日にポーランドで感染者が初確認され、中旬頃に欧州で感染が拡大。4月1日にチャーター便で日本に帰国予定だった田部さんは、アルバイト先のレストラン従業員が感染したため、保健所の指示で濃厚接触者として10日間程度隔離されて帰れなくなった。「体調が悪くならない限り検査はしない」と職員から言われ、陰性か陽性か分からないまま寮で待機した。

 今も心配は尽きない。4月からオンライン講義がある一方、寮で同部屋のポーランド人が3月末に帰省し、ほとんどの時間を1人で過ごす。研究者や教員と共有キッチンで出会っても、年が離れているため会話も少なく、心細い。バイト先は再開のめどが立たず、生活費と寮費に充てている奨学金も6月以降どうなるか不明だ。

 感染予防にも気を使う。ポーランドにはマスク着用の文化がなく、売っている場所が分からない。通販は50枚で6千円と高額で、日本から持参したわずか5枚の使い捨て用マスクを繰り返し使用し、耐えている。

 5月上旬、日本行きの飛行機が16日に飛ぶとの知らせが届いた。「(留学期間の)7月まで頑張りたい気持ちもあるけど…」。体験したことのない状況にくじけそうになる一方、留学も中途半端に終わらせたくはない。難しい判断に頭を悩ませている。

2020年5月10日 無断転載禁止