聖火リレー延期、収束願う走者

黙々とランニングする香山進介さん=松江市東津田町
 16、17の両日は新型コロナウイルスの感染拡大がなければ、東京五輪の聖火リレーが島根県内で開催されていた。県内が沸く2日間は「幻」となったが、ランナーに選ばれた人たちは感染の収束を待っている。

 県内では16日に津和野町をスタートし、17日に松江市でゴールする総距離34.3キロ(14市町村)のコースに、幅広い世代の179人が参加する予定だった。

 中学時代に生徒会長を務め、弁論大会で活躍した三家本亜瑠聖(あるせ)さん(16)=津和野高校1年=は、野球部に入ったがすぐに全体練習が中止に。通常通りの学校生活を送れない状況が続く。

 「延期は残念」としつつもリレーに対する思いは変わらない。既に決まっていた走者は、来年の聖火リレーで優先的に走る権利が与えられる方針で、「生まれ育った津和野の人の温かさや街並みが大好き。自分が来年走ることで盛り上げたい」と力を込めて語った。

 「苦しんで耐えた末に東京で五輪が開かれたら、みんなの気持ちはさらに高まるのではないか」

 1976年モントリオール五輪競泳男子バタフライ代表の香山進介さん(60)=松江市古志原1丁目=は黙々とランニングを続ける。昨年10月ごろから聖火リレーを見据えて計画的に走り始め、累計距離は千キロを超えた。3月24日に五輪延期が決まってからは少しペースが落ちながらも、仕事終わりなどにランニングを欠かさない。

 香山さんが五輪代表になったのは2度。1度目が高校2年時のモントリオール大会で、2度目は東西冷戦の影響で日本が参加をボイコットして出場が幻となった80年モスクワ大会だ。リレーは家族や仲間に後押しされ「五輪の思い出を悔しさから楽しさに変えたい」と応募していた。

 「モスクワは政治絡みで出られなかった。今回はそれ以上に自分の力でどうすることもできない」と自分を納得させ、1年後に思いをはせた。

2020年5月17日 無断転載禁止