フランスの日常戻って 規制緩和も戸惑う日々

ワイン農家で働きながら農業を学んでいる福田聖さん(左)=フランス・モンブラン、2月
 フランスらしさが消えた光景に違和感が拭えない。島根大大学院2年の福田聖(あきら)さん(24)=鹿児島市出身=はフランス南端の小さな町に留学し、農業を学んでいる。新型コロナウイルスの感染拡大で心身ともに人と人の距離が広がる日常に戸惑いながら、これまでの生活に早く戻るのを祈る日々だ。

 昨年11月からエロー県のモンブランという町でワイン農家に住み込みで働き、農業のノウハウやブランディングを勉強。今は50ヘクタールの広大な土地で、ブドウの余分な芽を摘む作業に励む。

 フランスでは3月17日から外出制限が実施され、生活が一変した。首都・パリでは警察や軍隊が出動。健康維持のための軽い運動や買い物には外出許可書が必要で、携帯していないと135ユーロ(約1万5千円)の罰金が課された。

 以前は時間を見つけてはフランスを観光した福田さん。隣国のスペインやイタリアにも感染が広がっており、読書やフランス語の勉強に時間を充てる日々が続いた。

 何より「物寂しさがある」と話すのは、文化であるスキンシップがなくなったことだ。感染拡大前は、町に出れば知らない人同士でも「ボンジュール(こんにちは)」と声を掛け、握手やハグも日常的だった。穏やかで活気のある町が閑散とし、警察も見回っているため暗い雰囲気が漂っていたという。「気がついたら下を向いて歩いていた」と話すほどだ。

 予定通りなら留学期間は8月末で終わる。外出制限は5月11日に緩和されたが、公共交通機関では11歳以上にマスク着用が義務化され、違反すると罰金が課される。飲食店の営業は再開されないままだ。福田さんは感染予防を徹底しながら、元の姿を取り戻す日を切望している。

2020年5月18日 無断転載禁止