世事抄録 忖度官僚と混迷の国

 「すまじきものは宮仕え」とはいえ、甘い汁も吸えるのが権力者のそば近く。ただ巨悪を眠らせない検察の世界に役職・定年延長のニンジンをぶら下げる危ない法律改正案は、今国会では持ち越された。なお渦中の高検検事長が今夏、検察トップに昇任する機会はまだある。ネット上では驚異的な1千万件超ものツイッター・デモをはじめ国民の改正反対の勝利を喜ぶ声があるが、新型コロナの第2波、3波と同様に予断を許さない。

 それにしても頭脳明晰(めいせき)なはずの官僚たちが今、ほとんど機能していないようにみえる。例のアベノマスクは安倍官邸の仕込みらしいが、466億円の無駄遣いを批判され異物やカビ汚れ騒ぎで回収したからか、まだわが家に届かない。発注先の会社が怪しいとのうわさが広がり、費用は90億円まで縮めたのに、なぜか発注者の国側が8億円かけて550人態勢で検品。検品報酬が高額すぎたか、すぐ100分の1の800万円に訂正された。ほとんど笑劇である。

 深刻なのは、昨年10月の消費増税によるGDP7・1%減のタイミングで襲ってきたコロナ恐慌だ。年率20~40%減の予測もあり、単純計算で現状550兆円のうち110兆円以上が欠損する。10万円給付金を含む第1次補正予算の真水25兆円で埋められるはずはない。いくら緊縮思考でも100兆円規模の新規国債発行を想定しない政府に無能を感じ、戦慄(せんりつ)する。

(松江市・風来)

2020年5月21日 無断転載禁止