島根県立高、授業の遅れに不安 受験前、ごたごた避けたい

出席番号で登校時間を分けた分散登校で授業を受ける生徒たち=松江市奥谷町、松江北高校
 「受験直前になってごたごたする事態だけは避けたい」。島根県内有数の進学校、県立松江北高校(松江市奥谷町、829人)に通う安達夢羽叶(ゆうと)さん(17)が漏らした。

 大学受験を控える3年生。新型コロナウイルスの影響で「9月入学」も取り沙汰され、入試にどう影響するのか見通せない。加えて、大学入学共通テストの試験方法を巡っても振り回された世代。口調には遅れを少しでも取り戻したいとの思いがにじむ。

 松江市内で感染者が相次ぎ、4月15日から休校していた同校は25日、出席番号の奇数と偶数で分けて登校する分散登校を始めた。感染者が出なければ、近く通常登校に戻る見込みだ。

 休校で遅れが生じたのは計24日分。この間、自宅学習を強いられた安達さんはリズムがつかめなかった。気分の乗った時は1日10時間机に向かう一方、全くしない日もあった。それだけに教員の説明を教室で聞き「すんなり頭に入った」と学びの深まりを喜んだ。

 同じ3年の中谷拓海さん(17)も「今まで受験モードに入っていなかったが、きょうを区切りに真剣に向き合いたい」と気持ちを切り替えた。

 ただ、予備校の模擬試験も中止され、実力を測る場がない。また、政府は9月入学を来年導入する是非を検討しており、議論の行方次第では入試時期がずれる可能性もある。

 生徒同様に学校現場も苦慮している。県外の私立高校などではオンライン授業の導入が進み、他県では既に通常授業を再開している高校もある。まして、本年度の受験は大学入試センター試験から大学入学共通テストへの切り替え時期で、焦りは尽きない。

 松江北高校は一部の教員が試験的にビデオ会議アプリ「Zoom(ズーム)」で生徒の質問に答える指導を行った。ただ、全校的に広げるまでには至らなかった。このため、オンライン授業の在り方を考える教員有志のチームを立ち上げ、平常時でも活用できる態勢の構築を急ぐ方針だ。

 「元通りの授業を取り戻すのではなく、新しい形の教育を生み出さないといけない」と常松徹校長。第2波などを見据え、残された時間はないと戒める。

2020年5月26日 無断転載禁止