困窮学生支援に島根大学長が感謝

多くの善意に感謝する服部泰直学長=松江市西川津町、島根大
 新型コロナウイルスの影響でアルバイト先がなくなった島根大に通う学生の窮状を伝えた記事を発端に、善意の輪が広がっている。山陰中央新報社の「新型コロナ学生支援金」には27日時点で島根大に236件、計1千万円を超す寄付が届き、大学にも直接の寄付や食料支援が相次ぐ。コロナで浮かび上がった困窮学生の現状や今後の対応について服部泰直学長に聞いた。

 -生活に困っている学生の実態は。

 「400人以上が(困窮学生に支給する3万円の)一時金を申請した。彼らはバイト代を生活費に充てている。島根大は全学生の77%が県外生で、多くが1人暮らしをしている。大学として経済的な支援が必要だと考えている」

 -多くの善意が寄せられている。学生、大学に求められることは。

 「直接の恩返しは難しいが、学生は受けた恩を胸にしまい、どこかで人の役に立ち、困った人を助けてほしい。大学としては学生を育てて社会に送り出し、研究面でいい成果を出して地域に還元する。当たり前のことを履行し、島根大への思いを高めてもらえればと考えている」

 -全学生に対する授業料減免をはじめとした対応は考えているか。

 「経済的に苦しんでいる学生への支援を第一に掲げており、現段階で全学生への授業料減免は考えていない。前期はオンライン授業をきちんと行い、資格取得といった学びに支障がないよう努める」

 -施設が活用できない中で、通常の学費を支払うことを疑問視する声がある。

 「授業料をどう考えるかの問題だ。国立大は施設利用料を徴収していない。施設利用料も含めた授業料という捉え方があるのは分かるが、授業を提供し、単位認定して学位を出すのが最も大きな大学の使命だ。授業料を徴収する大きな意味はそこだと考えている。施設利用について不便を掛けているが、施設を使えないから、その分を差し引く考えは今はしていない」

 -オンライン授業の成果や課題は。

 「大きなトラブルなくスタートできた。課題は質をどこまで上げていけるか。技術的にサーバーの容量や通信速度に問題があり、今後、通信設備の投資に力を入れないといけない。事態収束後もオンライン授業が残るだろう。対面とオンラインの良さを検証し、新たなスタイルを生み出す」

 -経済へのダメージは長引きそうだ。今後、経済的理由で学生が学ぶ機会が失われるのではないか。

 「経済的に苦しい人への支援をどうするか。個人や大学がカバーできるものではなくなる。社会全体でサポートする制度設計が必要になる」

 -県民の厚意をどう受け止めているのか。

 「温かな支援とメッセージをいただき、島根大が皆さんに広く認知され、支えられているのが分かった。われわれが見えていなかった部分が見え、とても勇気づけられた。地域に根差す大学として期待に応える」

2020年5月28日 無断転載禁止