障害者の就労支援施設にも影響 注文減で作業なくなる

パンの袋詰めをする利用者=松江市古志町、就労継続B型事業所のぞみ
 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、島根県内の「障害者就労継続支援B型事業所」が打撃を受けている。事業所で担う軽作業の発注が激減し、工賃確保が厳しい状況にあるため。障害者にとって事業所は単なる働き口ではなく、共に集う居場所や就労訓練の場でもあり、テレワークは難しい。感染拡大第2波への懸念がある中、関係者の表情は晴れない。

 「普段は1日2千~3千個のパンを作るが、半分の注文しかない日もある」

 27日午後、社会福祉法人・四ツ葉福祉会が運営する「就労継続B型事業所のぞみ」(松江市古志町)のパン工房。毛利勇介施設長が、焼きたてのレーズン入りパンを黙々と袋詰めする事業所利用者を見つめ、つぶやいた。

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 新型コロナウイルスの影響で、4月から学校給食や喫茶店などに卸していたパンの注文が急減。5月の売り上げ金額は、数百万円単位で下がる見込みという。運営するほかのB型事業所でも、土産物用の菓子箱折り作業がほぼなくなり、4月の売り上げは前年同期の7割程度に落ち込んだ。

 B型事業所は、雇用契約に基づく就労が困難な障害者が軽作業に従事。のぞみでは20人の利用者が、リーダー職員の指導の下で1日6~8時間程度、パン製造に取り組む。利用者に支払う工賃の平均月額は2018年度が約4万円。県平均の約2万円と比べると高いが、利用者の中には施設入所者も多く、利用料や生活費に充てると手元に残る金額は多くない。

 4月からは、パンのテークアウトを増やすほか、運転免許センターにパンの自動販売機を設置するなどし、減収分をまかない、工賃を下げることなく支払っている。ただ、毛利施設長は「第2波が来ることを考えると不安は大きい」と話す。

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 業態特有の悩みもある。B型事業所は雇用契約を結ばないため、利用者が仕事を休んでも雇用調整助成金の対象にはならない。

 全国では受注減で作業ができず工賃が支払えない事業所もあり、厚生労働省は事業所運営のための給付費を工賃に当てられるとする。一方、そうした対応をとれば、職員給与や法人経営にしわ寄せが行くのは避けられない。

 厚労省の支援策には、在宅作業を進めるためICT(情報通信技術)機器の導入費用の補助が設けられた。実情は、事業所の多くが製造、生産業のため、テレワークが不可能な場合が多いという。

 先が見通せない中、同福祉会が重視するのは「利用者の作業をきちんと確保すること」だ。障害のある人にとっては共に作業することに意味があり、就労訓練の場という大きな役割もある。

 「障害者も地域経済を支える一員。事業所も工夫と努力をするので、行政も障害者への支援を進める姿勢をさらに強く示してほしい」。毛利施設長は切に願う。

2020年5月30日 無断転載禁止