まず行政主導で開催を フリーの音響マン、催しゼロで苦境

唯一、残されたラジオの仕事に当たる福田慎司さん(左)=松江市学園南1丁目、エフエム山陰
 「じゃあ、今日も一日よろしくお願いします」

 松江市学園南1丁目のエフエム山陰スタジオで、音響技術者の福田慎司さん(34)=松江市乃白町=は、ブース内の出演者に向かって明るく一声掛けて、夕方の生放送を始めた。

 2018年から続ける生番組のディレクター業は週2回、3時間ほど。フリーランスのため、現場仕事は今、これしかない。

 山陰両県でライブハウスを運営する「アズティック」(東井規至代表)で音響担当として勤務、14年に独立した。フリーになっても以前の職場とは関わりが深く、収入源は同社のライブハウスやイベントが7割を占めていた。

 新型コロナウイルスの影響で2月末からライブの開催が急減した。例年、春休み期間は一時的に書き入れ時となるが、3月のスケジュールは歯抜け状態に。4月以降はライブ、イベント関係の依頼が皆無の状態が続き、仕事の8割強が蒸発してしまった。

 どこの音響業者もスケジュール帳が真っ黒になるほど忙しい夏だが、今年は真っ白。境港妖怪ジャズフェスティバル、松江の水郷祭など大規模なイベントは早々に中止が決まった。地域主体の祭りやイベントなど、本来ならば稼ぎのピークは11月頃まで続くが「秋の学園祭は開催が難しいだろうし、ライブも第2波が来ると厳しい。アプローチ(営業)を掛けたいが、下請けの立場として今はまだ言えない」と頭を抱える。

 独立後、業績は右肩上がりとなっていた。事務所の開設や機材への投資は検討段階で、大きな負債を抱えていないのは不幸中の幸いだった。

 「支出を減らして年内はなんとか持ちこたえたい」

 3月に4人目の三女が生まれ、一家の大黒柱としても責任は重い。

 全国的にライブやイベントの開催が、一定の条件下で徐々に緩和される動きがいちるの望みとなっている。

 「まずは行政が手を上げてイベントをやってもらえたら、民間も続きやすい」

2020年6月30日 無断転載禁止