市民の声届かず 住民投票条例案否決

住民投票条例案に賛成し、起立する議員(前方の4人)=松江市末次町、市役所
 松江市役所本庁舎(松江市末次町)の建て替え事業を巡り、松江市議会が9日、着工延期の是非を問う住民投票条例案を賛成少数で否決した。議長を除く33人のうち、賛成4人、反対27人で、2人は採決を棄権した。民意を事業に反映させるため、十分な説明と慎重な議論を求める市民の声は届かなかった。

 賛成したのは、共産党市議団の3人と、最大会派・松政クラブ(16人)の出川桃子議員。討論では、共産党市議団の田中肇議員が「市民の声を聞く松江市の政治の象徴として(新庁舎が)建設されることになる」と住民投票の意義を説いた。

 これに対し、松政クラブの13人(議長を除く)と第2会派・真政クラブの4人、公明クラブの4人、市民クラブの4人、友愛クラブの2人が反対した。松政クラブの森脇勇人議員は反対討論で、事業を中断して議論する場合に計画のどの段階から再考するのか条例案に示されておらず、在住外国人の投票権の有無も不明だと指摘。「住民投票よりも市民アンケートの方が目的に沿っている。住民投票に固執する特段の事情がない」と強調した。

 松政クラブの三島進議員と真政クラブの貴谷麻衣議員は棄権した。

 住民投票条例の制定は、1万4145人分の署名を集めた市民団体「松江市民のための新庁舎建設を求める会」(代表・片岡佳美島根大教授)が9月下旬、松浦正敬市長に直接請求した。

 その後、松浦市長が制定に反対する意見書を付して市議会に条例案を提出。今月2日に市民団体のメンバー3人が本会議で意見陳述した。

 条例案の否決を受け、片岡代表は「市民の今の声に寄り添ってもらえず、残念だ」と落胆した。

 一方、松浦市長は記者団に「あまり間を置かずに手続きを進めていきたい」と述べ、計画通り12月にも着工する考えを強調。情報提供や説明不足との指摘に関しては「問題提起を生かせるよう対応していきたい」と述べた。採決後、9月定例市議会は閉会した。

2020年10月10日 無断転載禁止