宍道湖八珍

 昔から「宍道湖七珍」といわれるが、最近は新しい仲間が加わり”八珍”になっていると、釣り人の間で話題だ。出雲側も含めて、湖畔の全域で姿を見せているのがチヌ(クロダイ)。8月下旬、松江市内の釣具店で40センチ前後の腹部が膨れた個体が3匹も持ち込まれているのを目撃した▼よほどの太公望か、運がいいだけだと思っていた。すると、あちこちから大型チヌ確保の情報が入ってきた。釣りの先輩に場所の指示を仰いで9月下旬にさおを出すと、浮きが深く沈み、53センチもの巨体が上がった▼筆者は磯に出て山陰特有のタルカゴ釣法で青物を狙ってきた。だから、さおや糸が細いチヌの仕掛けは見よう見まねだが、翌週には43センチ1匹、今月11日には中海側の場所で25~29センチを複数釣り上げた。腕や運の良さではなく、個体数が多いようだ▼チヌは広島周辺のカキ養殖いかだに魚影が濃い。養殖業者が釣り人をいかだに上げ、チヌを釣らせる所もある。釣り上げたチヌをさばく際に胃袋を見ると、まき餌や水草に混じってシジミの稚貝が入っていた▼何年生きているか分からないことから「年無し」と呼ばれる50センチ以上のチヌが、なぜ宍道湖に入ってきているのか、専門家に聞いても答えは出なかった。今になってシジミの味を知ったチヌが、宍道湖の環境に悪影響を与えるかもしれない。そうならないためにも、微力ながらもう少し釣行を続けるか。(釜)

2020年10月16日 無断転載禁止