政治の健康診断

 若さや健康は失ってみて初めて、その大切さに気付く。いずれも直面してみないと分からない。時間を逆戻しできないように、若さは取り戻せないし、健康も症状が出始めてからでは手遅れになりかねない。健康診断をおろそかにしてはいけない▼政治も同じだろう。定期的に健診をしてみないと、「甘い汁」のせいで血糖値が上がっていたり、中性脂肪や尿酸値が高くなったりしている恐れがある。子どもの頃に聞かされた訓示をもじれば「健全なる政治は健全なる組織に宿る」である▼しかし日本学術会議会員への任命拒否を巡る国会審議を聞いていると、不安になる。健診に必要な問診票に正直に答えようとしていない。どこか気になる箇所があるからなのだろうか。おまけに前政権時代に、森友学園の問題で見つかった「忖度ウイルス」退治は不十分なまま。任命拒否が、第2波の新たな「クラスター(感染者集団)」になって、感染が他の分野にも広がらないか心配だ▼指摘される「学問の自由」は、大半の人にとって、日々の生活には直接響かない検査項目の一つかもしれない。しかし、その「異変」を放置しておくと、この先、不健全な政治に陥る可能性が否定できない▼「自由」もまた、失ってみないと、その大切さは分からない。だから、そうならないように政治をしっかり監視し、健診を行うのは、主権者である国民以外にいない。(己)

2020年11月15日 無断転載禁止